とろり

ちいさな『シアワセ』

とろり溶け込んで

ひんやり身体を廻る

色涙

悲し涙はひやっこい

青くて寂しい色してる

嬉し涙はぽっかぽか

わくわくどきどきレモン色

悔し涙はあっちっち

赤くて暗くて怖い色

他にもいろんな涙があるさ

そりゃあもう、いっぱいね

両手の指を使っても

両足の指を使っても

まったく、数えきれないよ

あっちの涙は どんな色？

こっちの涙も そっちの涙も

同じのなんて ひとつもない

全部が違う 色してる

全部が違う ものがたり

きみの涙は どんな色？

あのときだって 今だって

ずっとずっと 隠してた

きみの涙は どんな色？

夜のしゃぼん玉

濃い群青色に浮かぶ、

まあるい透けた虹色。

しゃぼん玉は彼の吐息を閉じ込めて、

ふわふわとんで、ぱちんとはじけた。

彼の見えない言葉と想いが、

ふうんわり、漂って、

夜のヒンヤリとした空気に

とろり、と溶け込んだ。

きっと、そのときだけ、

ほんの数秒だけ、

あったかかったに違いない。

濃い群青色は、

わずかにキラリ輝いた。